仏法豆知識


《合掌ということ》


 お参りする時に胸の前で手を合わせるのはなぜ?

 胸の前で手を合わせてお参りしたり拝んだりするのは、形式は異なりますが、世界のどの宗教にも当てはまる動作です。それは、私たちの体の中心である胸のところに心臓があることと関係しているのかも知れません。
 胸の前で手を合わせるのは、お参りするこの私の真心をお伝えするという意味があります。そして、謙虚になっている自分を表します。無欲である自分を表します。感謝の気持ちを表します。
 したがって、何か神仏にお願いするという意味ではありません。
 このことは、押さえておいていただきたいことです。


《線香のこと》

 線香は立てるか?寝かせるか?

 線香を立てて香炉に入れる人をよく見かけます。
 その人いわく、「通夜のときなんか立てているから、線香は立てるものだと思っていた。」

 線香は、折って寝かせて香炉に入れます。
 通夜のときに線香を立てるのは、線香を長持ちさせるためです。通夜では、不断香を焚くことになっていますから、線香を折って寝かせたのでは、しょっちゅう入れなければなりません。そこで一本のまま火を点けて立てることを考え出したのです。
 最近では、それも面倒だというので、渦巻き型の蚊取り線香のような線香が考え出されました。これだと何時間でも無くなりません。

 便利というか、なまくらというか時代は変わるものです。


《ろうそくの色》

 赤と白のろうそくの使い分けは?
 
 一般的には、赤を使います。
 白は、葬儀や年忌に関する仏事の時に使いますが、当地方では、50年忌の時は赤を使っているようです。

 年忌の法事でも、お参りそのものは、いかなる場合でも仏恩報謝のためですから、赤を使ってもかまいません。しかし、お参りする人の気持ちとして、白を使う場合が多いようです。そのことは、なんとなく理解できますが、お参りそのものを違った意味で受け取ってしまう危険性があります。それは、お参りを先祖供養とか冥福を祈ることと考えてしまうことです。ご先祖は、供養や冥福を祈る必要のない世界におられる存在です。お参りは、そのご先祖や仏さまのご恩に感謝するところに本来の意味があります。そのことをとおして、私たちは仏法に目覚めていくのです。

 それにしても、お店で売られているろうそくは、圧倒的に白が多いようです。白の売れ行きが良いからです。
 ということは、現代人は、お葬式のような時にしかお参りをしないということでしょうか。
 また、先祖供養としか考えていないのでしょうか。
 はたまた、無頓着なのでしょうか。


《お仏壇のお飾り》

 お仏壇のお飾りの意味は?

 お仏壇は、お浄土を形に表したものです。したがって、お仏壇のお飾りは、すべてお浄土の荘厳を意味します。
 お仏飯は、お浄土の人々が食べる浄らかな食を意味します。また、お花は、お浄土の浄らかな華を意味します。そして、ろうそくなどの光は、阿弥陀さまが、十方に放つ智恵の光明を意味します。そして、七宝で荘厳されたお浄土の宝樹や宝池などが輝いて放つ光を意味します。

 ですから、お仏壇をお飾りするときは、お浄土のお姿をしのびながら浄らかな心でお飾りしたいものです。

 したがって、お花が枯れても、いつまでも替えなかったり、お仏壇を貯金通帳の隠し場所にしたりすることはいけません。


《お仏壇の向き》

 お仏壇は、どちら向きが良い?

 どちらに向いていてもかまいません。

 お仏壇は、東向きにするものだという人がいますこれは、理屈としては通っています。というのは、お浄土は西にあると仏典では説いてあるからです。ですから、東向きに安置すれば、お参りする私たちは西に向くことになります。したがって、仏典が説く西方に向かって手を合わすことになりますから、理屈に合っていることになります。

 しかし、《お仏壇のお飾り》の項でも述べたように、阿弥陀さまは、十方に智恵の光明を放っておられますから、どちらに向いていても、私たちは阿弥陀さまのお光を浴びていることになります。


 お浄土は、心で感じていくものです。